3歳児向け

絵本「ちょっとだけ」を嫌いになる原因は我慢を強いることではない?!親子で感想が分かれる理由を解説!

3才児向けの絵本として有名な、「ちょっとだけ」という作品ですが、実際に読んでみると「子供が嫌がった」という声があります。

僕自身も長女に読み聞かせたことがありますが、はじめはあまり好意的に受け取ってもらえませんでした。

一方で、兄弟を持つ保護者からは「感動した」「涙をポロポロと流した」といった評価が得られています。

 

親子で受け取り方に差が出てしまうのはなぜなのか?

このサイトでは、その原因と対処法について解説していきます。

 

絵本「ちょっとだけ」のあらすじは?

ある日、お家に赤ちゃんがやってきたことで、お姉ちゃんになった「なっちゃん」の日々の葛藤を描いた物語です。

ママと大好きなお買い物に行く時に、いつもは手をにぎっていたけれど、赤ちゃんを抱っこしているので、つなげない状況に。

なっちゃんは、「ちょっとだけ」スカートをつかんで歩くことにしました。

他にも、牛乳を自分で入れることに挑戦してみたり、パジャマのボタンを止めることに挑戦したりします。

初めてのことで戸惑いつつも、「ちょっとだけ」うまくいく姿に微笑ましい気持ちになります。

赤ちゃんのお世話で手がいっぱいになるママを気遣って、なっちゃんが自分なりに努力する姿に、親としてはハッとさせられる場面も多いのではないでしょうか。

しかし、そんななっちゃんにも、どうしても我慢できないことがありました。

それは何だったのか?

ラストのなっちゃんと、ママのやり取りに思わず、ほろりと涙してしまうかもしれません。

絵本「ちょっとだけ」の作者は?

瀧村有子(たきむら ゆうこ)さん という方です。

ご自身も3児の母をしており、子育てを通じて感じたことを絵本にしています。

他の著書には、「てのひら」(2010年発刊)、「そっと」(2016年発行)があります。

思わず共感してしまう出来事には、瀧村さん自身の体験談が含まれていたからなんですね。

絵本「ちょっとだけ」を嫌いになる原因は我慢を強いることではない!本当の原因は?

親子の心温まるストーリーがママの感動を呼ぶこの絵本ですが、子供心にはそうはいかないようです。

レビューに親子で読むのにオススメ!とあったので、『はじめてのおつかい』が大好きな上の娘に読み聞かせをしましたが、共感するどころか、それはそれは悲しそうに泣き出してしまいました…。「この本嫌い!」と。

子供の目には、我慢を強いる内容に思えたのでしょうか…

読んでいるこちらも胸が痛くなり、毎日葛藤してがんばっている娘に読んでしまったことを申し訳なく思いました。
いろいろ自分で考えられるようになってきた、物心ついた年頃の子には不向きかもしれませんね。

Amazon商品レビューより引用

 

なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか?

その原因を解説していきます。

兄弟がまだ居ない場合は、新しい生活がイメージできない可能性がある

これから新しく兄弟になることを見越して、この絵本を読んでしまうのは、あまりおすすめできません。

というのも、

この絵本が対象としている幼児は、兄弟がいる生活がイメージしにくいからです。

混乱のイメージ

実際にこの目で見たことがないものは、イメージしづらいというのは大人も子供も同じです。

主人公なっちゃんのように、自分でできることは自分でやってほしいという気持ちでこの絵本を勧めてしまうと、心理的なプレッシャーになってしまいます。

 

子供心には、

「赤ちゃんが生まれたら、手もつなげなくなるのかな。」

「ママに甘えられなくなるのかな。」

と不安をかき立ててしまう要素が数多く描かれています。

 

もちろん、ラストまで丁寧に読み聞かせることでその誤解は解けていくのですが、途中までは子供からすると辛い場面が続いてしまうわけです。

価値観の押しつけになっている

絵本を読み聞かせる時に注意してほしいことは、「なっちゃんとの比較」です。

「なっちゃんはこんなことできるんだね。○○くん(ちゃん)はどうかな?」

という声のかけ方をしてしまうと、やはりそれもプレッシャーになりかねません。

価値観を押し付けすぎないように、注意する必要があります。

絵本「ちょっとだけ」を嫌いにならないための対処法は?

この絵本を読み聞かせる前に、保護者さん自身がご一読してみるのがオススメです。

兄弟の子育てに疲れた時、あるいは兄弟がいる生活を保護者自身が知りたい時にこの絵本を読めば、きっと心を癒やしてくれる作品になることは間違いないです。

注意するべきは、子供に読み聞かせるタイミングなんです。

 

先程の原因でもお伝えしたように、兄弟が居ないタイミングではイメージがしづらいです。

 

オススメは、兄弟が生まれた後に、この絵本を読み聞かせてみるということ。

兄弟のイメージ

実際に兄弟がいる状態であれば、日々の生活とも深くつながってくるので、イメージが持ちやすいです。

 

その時は、なっちゃんとの比較ではなく、

「こんなこともあるんだね。大変だね。困ったときはママ(パパ)を呼んでね。」

と、いつでもママ・パパが味方でいるということを伝えてあげてください。

それだけで、子供は安心し、この絵本のストーリーに浸ることができます。

 

最後のシーンは、親子でジーンとくるやり取りなので、きっと今まで以上に絆も深まりますよ!

まとめ

絵本を読むタイミングによっては、嫌われてしまうかもしれません。

しかし、価値観を押し付けようとするのではなく、一緒に寄り添ってあげる、いつでも味方でいるというスタンスで読んであげれば、

「兄弟がいるのも、いいかもしれない。」

という自立に向けた心の働きを促すことにもつながっていきます。

 

発達はお子さんそれぞれですし、焦らず見守っていくという姿勢が良かったりもします。

何より、子育てに疲れた時にこの絵本を読むと、僕自身もとても励みになりました!

 

作品自体はとても素晴らしいので、ぜひ手にとって、その物語を親子で味わってみてください。

そして、寝る前の親子のスキンシップにつなげると、きっとお子さんも喜びますよ!